2-tacs


1234|5|67891011

行きましょう、山へ。 冬期八ヶ岳編】

みなさん、お元気ですか。
 
自分は冬期登山に行ってきました。
 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 
とうとう念願の冬用のシュラフを手に入れた。
 
それからは堰を切ったように冬期用ブーツ、グローブ、ストック、クランポン、スノーシュー、ピッケルと冬山に必要なギアを吟味しながら買い揃えた。
 
冬山の装備を揃えるのにはそれなりの費用がかかった。
 
そのすべては自作はもちろん、持ち合わせのもので代用できるような代物ではなく、下手すると凍傷だったり命に関わることになるかもしれないので、ここはケチらずにある意味保険だと思って自分が納得いくものを揃えた。
(ちなみに山岳保険にも加入)
 
とは言いつつも、実際はフィールドでいろいろ使ってみないと、そのギアの本当に良いところはわからない。
 
なので疑問に思ったことはどんなに細かなことでも店員さんに聞くように務めている。
 
ここで知ったか振りをして山の上で後悔しても遅い。
 
呼び止める店員さんも20代の「バリバリ山行ってます」的なオニイちゃんだと体力的に差があるので、自分の年代くらいか、もしくは上の人に意見を求めるようにしている。

それにしても良い山屋の店員さんの接客は説得力があっていい。
 
まず一つの商品を「素材」、「構造」、「使い勝手」と3つの要素に分けてそれぞれのメリットとデメリットを説明する。
 
ここまでは自分たちのお店でもやっている接客なのだが最後に
 
「それであなたはどの時期の、どの山を狙っているの?」とくる。
 
ここが自分たちのような街着を販売しているお店と専門店との大きな差を感じる。
 
登る山の時期によってギアのスペックを変えて望むということ。
 
これこそ最近のファッションであまり語られることのないTPOであることに気が付いた。
 
しかし日常でこれだけミックスミックスと多様化された街のファッションを目の当たりにしていると、「TPOをわきまえる」という言葉自体に、もはやリアリティすら感じることのほうが難しく思えてならない。
 
自分はたま〜にホテルで食事をするときと、目上の先輩との仕事の打ち合わせか、食事に誘われたときにこのTPOという言葉を意識する。
 
ホテルは折角なのだから自分も正当なサービスを受けたいという気持ちの表れであり、先輩からのお誘いは何処に連れて行かれるかわからないのでそれ相応の格好をしておいたほうが先輩に恥をかかせないですむ。
 
それとあとは冠婚葬祭くらいか。
 
このすべての境遇は街で人に対してのTPOとなる。

しかし、山でのTPOとなると話が違ってくる。
  
いくらお洒落なスタイリングでもレイヤリングを間違えれば痛い目にあうだろうし、どんなにルックスがかっこいいシューズでも自分が求めている機能が備わっていなければ意味がない。
 
そしてなによりも自分にフィットしているかが何よりも重要。
 
山へ入り遊ぶという行為が伴う危険性、そして必要性からくるTPOは山に対しての自分自身へのTPOということになる。
 
TPOというと個人的には階級主義が鼻につくような言葉であるが、これならば「アンチ・クラス(階級的)TPO」という解釈もできるのではないだろうか。
 
八ヶ岳5.jpg
買った買った。買ってやったぜ!!
 
ということで、どこへ行こうか?
 
八ヶ岳もいいし、谷川岳もいいなぁ。南アルプスも捨てがたいし...
 
と、妄想しながらムラムラしていると友人のM田くんから冬山のお誘い。
 
一人で行くのは少し心細かったのでご一緒させてもらうことにした。
 
今回の山行はM田くんの先輩のN目さんと自分との3人のパーティで八ヶ岳の天狗岳へ向かうことになった。
 
 
八ヶ岳1.jpg
登山口の唐沢鉱泉へ向かう途中の道はすっかり雪道。
 
先日、スタットレスタイヤに履き替えたばかりなので、スイスイ進むがこの先でスタックする。
 
 
八ヶ岳2.jpg
さっそく、ゴムチェーンを装着するが、またしてもスタック!!!(汗)
 
 
八ヶ岳3.jpg
そこでクランポンを装着してバックから押してもらうが、全然スタッグ!!!!!!(汗)
 
そこで近くの駐車場に交渉して車を止めさせてもらい、歩いて向かうことに。
 
しかし、ここから唐沢鉱泉までは4kmもある。
 
そこで唐沢鉱泉へ連絡をして交渉して迎えに来てもらった。
 
登り出す前にこのトラブル。そしてこの対処。
 
2人はヒマラヤのトレイルも経験している強者なので、トラブルに慣れてるなぁ。
 
いいですねぇ。
 
旅らしくなってきたなぁ。
 
 
八ヶ岳4.jpg
とは言えこの車両を見たときは、「ちょっと甘かったかな?」と思ったり...
 
 
八ヶ岳6.jpg
結局、登り始めたのは昼の12時半ごろ(遅っ!!)。
 
 
八ヶ岳7.jpg
冬の山は空気が澄んでいて気持ちがいい。

八ヶ岳8.jpg
八ヶ岳9.jpg
1時間くらいで分岐に。
 
やっぱり予定よりも時間が掛かっている。
 
準備した装備はすべて完璧だったけど、休憩すると驚くほど体の体温が低下していく。
 
煙草を吸うと指先の感覚が無くなっていく。
 
きっと血管が収縮して血液の循環が悪くなっているのだろう。
 
 
八ヶ岳10.jpg
八ヶ岳11.jpg

極端に色数が少なくて、雪が吸収しているのか音がしない。
 
ああ、なんという世界、美しい。
 
時計を見ると3時前で、このあとは天気は下り坂。
 
このあとは西天狗岳を越えて東天狗岳へはラッセルして進まないといけない。
 
どうしようか悩んだ結果、残念だけど今日はここまでにしようということになった。
 
行きしなのスタックでロスした時間が悔やまれるが、また来ればいいか。
 
 
八ヶ岳12.jpg
山の上で食べる鍋の準備もしてきたので、せっかくだから車の中で宴会。
 
みんな飲むねぇ...さすが山男。
 
いつまでも話は尽きない。
 
「二足歩行とジャン・ジャック・ルソーと民主主義の関係性」
 
「二足歩行とヘンリー・デビッド・ソローとPUNKの関係性」
 
「ヒンドゥ教とランニングと禅の関係性」
 
「愛と恋の違いによる男女間の摩擦」
 
と、お題はかなりおもしろかった。
 
一人で行くのもいいけど、たまにはみんなで山に行くのもいいね。
 
さて、つぎはどの山に登ろうか。
 
それではみなさん。ごきげんよう。
 
(H)
 

行きましょう、山へ。 天子山地縦走編その2】

 
 
IMG_8321-1.jpg
みなさん、お元気ですか?
 
自分は残りの縦走をやってみたかったので再び天子山地に行ってきました。
 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 
前回一緒に行った友人も行きたがっていたけど、都合が合わず今回はソロで向かうことに。
 
そのかわりに彼は、まだ冬用のシュラフを決めかねている自分にシュラフを貸してくれた。
(ありがとう!絶対にファブリーズするね!)
 
初日は2-tacsのブログ用の撮影をして午後3時過ぎに前回降りてきた登山口にデポしてもらってのエントリー。
 
もちろん、こんな時間から山に入るのは初めてなので
 
「とりあえず登山口の駐車場で今夜は野営かな」と
 
思っていたけど山の準備をしていたら、どんどん歩きたくなってきて
 
「行けるところまで行こう」に変更。
 
登山開始。
 
 

 
IMG_8272-2.jpg 
1時間ばかり歩くと、日が山の背に隠れて急に冷え込む。
 
「そろそろ野営できる場所を見つけないと...」
 
さっきまで平らで安全な場所があんなにあったのに、いざ探しはじめるとなかなか見つからない。
 
キョロキョロしながら登り続ける。
 
あたりはどんどん暗くなってくる。
 
そして沢の近くに平らな場所をみつけた。
 
もし、この状況で2人以上のパーティであった場合
 
「おっ、良いじゃん!」と
 
どちらかが言ったときにもう1人が
 
「でも、沢の近く寒そうじゃね?」とか
 
「あの上の岩、危なくね?」とか
 
それぞれな角度でその場所の安全を検証できるが、ソロの場合はそれらの検証を自分1人でこなさなくてはならない。
 
当たり前といえば当たり前なんだけど、でもこれがソロの一番の醍醐味。
 
その醍醐味をやってから、今夜の幕営地を沢の近くに決めた。
 
IMG_8277-3.jpg
夕方になると辺りが月の光に照らされる。
 
もちろんその白々とした世界にはLEDのような華やかさはないが、鈍く照らされる単色の陰影が素晴らしい。
 
いま自分が見ている光は間違いなく太陽の明かりが、月に反射しているものだと納得ができただけでも来た甲斐がある。
 
それにしても寒い。
 
温度計を見ると氷点下まで下がっていた。
 
持ってきた防寒着をすべて着込んでも動いていないと外では10分ももたない。
 
時間は夕方の5時半。
 
夜が明けるのが6時くらいなので、12時間はテントで過ごさなくてはいけない。
 
今朝は早かったけど、1時間くらいしか歩いていないのでまだ目は冴えている。
 
「文庫本、せめて紙とペンくらい持ってくれば良かったかな...?」と
 
悔やんでももう遅い。
 
IPHONEは充電を持たせたいので胸ポケットに入れたまま、必要時意外では触りたくない。
 
「じゃあ、お酒でも...」と
 
余市の入ったプラティパスを探すが見当たらない。
 
「あら?わすれた...?」
 
諦めてシュラフに潜り込む。
 
 
IMG_8284-4.jpg
山は前回よりも寒く感じた。
 
とくに足先の冷えはどうしようも無いくらいに冷えた。
 
靴下を三枚履いても冷えがとれないので、マッサージをして冷えを解消していたが、またすぐに冷える。
 
そこでコッヘルで湯を沸かしてその湯をペットボトルに入れて、湯たんぽ代わりにした。
 
これが効果覿面でペットボトルの湯の温度は徐々に下がっていくのだが、今度は暖まった足の熱が湯に伝わって朝まで温かい。
 
てっきりお湯が冷えたらまた湯を沸かさないといけないと思っていたので、これは嬉しかった。
 
足先など血流が微量な部分に熱を保たせるには、なにも自らが発熱するモノでなくても熱の媒介するモノがあれば充分に快適だった。
 

 
 
IMG_8287-5.jpg
翌朝、午前6時半頃目覚めて外を見るとパラパラと雪が降っていた。
 
雨に降られるよりよっぽど歩きやすい。
 
荷物をまとめて歩き始めると、いきなり大きなカモシカがオン・トレイル。
 
「でかい...」
 
2分ほど見つめ合うが全く動かない。
 
こっちも動けない。
 
下手なことやって刺激するのも危ないので、さらに見つめ合う。
 
クリッとした表情からは何を考えているのか、なに一つ読み取れない。
(こんな人が仕事の打ち合わせに来たら大変だ)
 
そのうちにプイッと行ってしまった。
 
 
IMG_8288-6.jpg
そしてしばらく歩き、このトレイルで唯一の水場で水を汲んでさらに登って地蔵峠まででる。
 
ここで朝ご飯とあたたかいお茶を飲む。
 
今日のコースは地蔵峠から金山→雪見岳→井之頭峠→熊森山→湧水峠→富士見峠→天狗岳→長者ガ岳→天子ガ岳まで向かう。
 
こうやってみるとえらく遠くまで足を伸ばしているように聞こえるけど、ピーク間もそこまで距離もないし、切立った崖もないトレイルなので気楽だ。
 
 
IMG_8292-7.jpg
IMG_8296-8.jpg
IMG_8297-9.jpg
IMG_8299-10.jpg
IMG_8300-11.jpg
しかし熊森山はその名に恥じないくらい多く熊の爪の研ぎあとがあった。
 
こんなものを見てしまったときは、とにかく大きな声を出す。
 
IPHONEのITUNESを起動して音楽を流す。
 
そして唄うに限る。
 
雪からみぞれっぽくなって、しだいに雨になる。
 
上半身を少し濡らしてしまったため、立ち止まって休憩すると体温が低下していくので、休まずにゆっくり歩を進める。
 
 
IMG_830312.jpg
スキップしたくなるくらい好みのトレイル。
 
嬉しい。来てよかった!
 
 
IMG_8306-22.jpg
天子ガ岳へ到着。
 
ここでテントを張って濡れた衣服を着替える。
(といってもインナーと靴下だけ)
 
 
IMG_8305-13.jpg
このあいだ買ったばかりのソックスがもうこんなになっていた。
(このソックスは忘年会には履いていけない...)
 
 
IMG_8308-14.jpg
夜、空を見上げると月が出ていた。
 
理由は無いけど昨日の月のほうが好きだった。
 
明日は天気が良さそうだ。
  
でも、夜はやっぱり寒い。
 
シュラフの中で縮こまっていると電話が鳴った。
 
明日、東京へ戻らなければいけない。
 
 
IMG_8318-15.jpg
朝目覚めるとこの景色。
 
少し慣れちゃっている自分がこわい。
 
7時頃に今回初めての登山者に会う。
 
もう降りるだけなのでテントやシュラフやグローブを乾かしてから帰ろうと、下山しだしたのが10時頃。
 
しかし、歩き出してすぐに別のトレイルをみつけた。
 
そのトレイルは上稲子のほうに抜けるルートで身延線の駅にも近い。
 
看板にも番号がふってあるので歩きやすそうだし、通常の下山ルートより長く山の中を歩けると判断してこのルートをとった。
 
ところがこのルート、よほどマイナーなのか登山者のトレースが極端に少ない場所があって、すぐに迷ってしまう。
 
『迷ったと感じたときは必ず引き返す』
 
これは自分の山の掟。
 
どんなに面倒くさくても戻る。
 
そっちのほうが結果的に面倒くさくならない。
 
それと降りていて気がついたのだが、どうやらこの看板は登りの人だけに向けて設置されているようだった。
 
ソロでこのルートはあまりお勧めできないけど、どうしてもという人は15番の看板に充分に注意して下山するように。
 
 
IMG_8323-16.jpg
とは言いつつも途中の鋸山(岳?)の尾根は小振りながらもスリリングでおもしろい。
 
歩いてきた天子山地の稜線を眺められるのもいい。
 
IMG_8334-16.jpg
神社があってもけっして油断してはいけない。
 
このあとは林業用の車道がでてきて「?」なルートが多数ある。
 

IMG_8346-17.jpg
ここも立派なトレイル。
 
人が歩いてないので草がボーボー。
(ちなみにトレイルは右じゃないよ、左だよ)
 
 
IMG_8335-18.jpg
ゴロリと空を見ながら休憩。
 
 
IMG_8360-19.jpg
そして下山。
 
バス停はあったけど3時間くらい待たないといけないので歩くことにした。
 
町へ向かう途中に温泉をみつける。
 
「バスの運行はないか」と
 
受付で聞くと駅まで送迎があると言うので、湯に浸かったあと利用させてもらった。
 
 
IMG_8379-21.jpg
無人駅、何年ぶりだろう。
 
ここから富士駅で乗り換えて三島で新幹線に乗って品川駅に着く。
 
金曜日の夜の品川駅は人で溢れかえっていて、その誰もが忙しそうに歩いていた。
 
女子力高めの女性が堂々と肩で風を切って歩く姿に対して、男性は少しだけ背中を丸めて歩いていて、どこかしら自信が無さそうに見えた。
 
もちろん自分も品川駅には無相応な泥がついたスニーカーに大きなバックパックを背負っているので、なるべく隅のほうでその光景を眺めていた。
 

 天子山地地図.jpg
今回のコース。
 
出来れば天子湖を抜けて白水山辺りでもう1泊したかった。
 
そろそろ本格的な冬山に行ってみたい。
 
それではみなさん、ごきげんよう。
 
(H)
 

 

 


 


 
 

行きましょう、山へ。 天子山地縦走編その1】

 

tenchi-sanchi02.jpg
みなさん、お元気ですか?
 
僕たちは天子山地の縦走に行ってきました。
 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  
今回の縦走は平日だけど紅葉シーズンも真っ盛りなので出来るだけマイナーな山に登って
 
メジャーな山を眺めるという戦略。
 
週末の静岡でのイベントを終えて、その足で2泊3日の縦走を計画していたけど、
 
朝からサーフィンしていたらあっという間にお昼過ぎ。
 
結局、登山口に着いたのは夕方4時過ぎだったので、その日は登らずに本栖湖でキャンプ。
 
1泊2日の縦走に予定変更。
 
そういえばキャンプ場で夜を過ごすのは久しぶり。
(しかも、焚き火台を使わなくていいなんて!!!!!)
 
焚き火を眺め、ちょっとだけ奮発したシングルモルトを飲みながら語らうなかなかオツな時間を過ごす。
 
他人の思いや考えを聞くのは結構好き。
 
一つの事象に対して思うことは10人いれば、10通りの角度がある筈なので
 
それに耳を傾けながらも自分の意見も述べる。
 
ビジネスのことだったり自然を介する遊びの話、それとちょっとした夢の話とお題はコロコロと転がるように展開していく。
 
パチパチ、ボフポフと焚き火の乾いた音が会話の間をうまく繋いでくれているようで、都会だとあまり出てこないような言葉がスラスラと出てくる。
 
焚き火...やっぱりいいよね。
 
tenchi-sanchi03-1.jpg
明日登る前に精をつけようと空き缶を切ってニンニクの煮る。
 
tenchi-sanchi04.jpg
コールマンのランタンを使うの何年ぶりだろうか...
 
ホワイトガソリンの明かりが頼もしいが、久しぶりの使用なのでロートが無いことが発覚。
 
tenchi-sanchi05.jpg
空き缶を切ってテープでとめてロートを作る。
 
これがなかなかの使用感。
 
tenchi-sanchi01.jpg
今回の装備。
 
2000m弱クラスの山といえども、夜は間違いなく氷点下なので夏山より荷物もだいぶ増えた。
 
冬用のシュラフの選択にまだ悩んで買えていないので、ウールとカシミアとダウンを着込んで寝るスタイルを試そうと思う。
(怒濤の8枚レイヤードが通用するのか!?)
 
tennchi-sannchi06.jpg
バックパックは夏山で使っていたzimmerbuiltでは入らなくなってしまったのでSIXMOON DESIGN FETHER PACKを初使用。
 
tenchi-sanchi07.jpg
しかし、登り始めてすぐにショルダーベルトに違和感を覚える。
 
アメリカ人向けの企画なのでショルダーベルトの幅が広過ぎて肩に当たって擦れて痛い。
 
ガイラインで幅を狭めて応急処置をする。
 
帰ったらこいつを大手術しないと...
 
tenchi-sanchi08.jpg
最近MYOGったスタッフサック。
 
大きめのスタッフサックは中のものがゴチャゴチャして出しづらいので、外側にポケットを付けてみた。
 
使用済みのアンダーウェアやソックスなどは外側のポケットへ入れる感じで、使い心地を今回の縦走でテスト。
 
さあ、行きましょう!!!!!!
 
tenchi-sanchi10.jpg
山はすっかり紅葉。
 
あぁ...きれいだな。
 
空気は澄んでカラカラに乾いて思いっきり吸うと鼻の奥がツンとする。
 
落ち葉を踏むとシャクシャクとこれまた良い音を立てて気持ちがいい。
 
初めての場所なのになんで懐かしい感じがするのだろう...
 
やっぱり秋の山は最高だ。
  
tenchi-sanchi11.jpg
竜ヶ岳手前で振り返るとまさに「紺碧」の本栖湖が見える。
 
tenchi-sanchi13.jpg
頂上付近は熊笹が幅を利かしているので見晴らしもいい。
 
tenchi-sanchi14.jpg
東方向を望むと富士山がいつもいる。
 
tenchi-sanchi15.jpg
竜ヶ岳山頂からの眺め。
 
手前に見えるのが雨ガ岳。
 
出来れば奥の毛無山まで行きたいけど、なにしろ景色が綺麗過ぎてすぐに足を止めてしまうので今日のビバークはきっとあの辺りだな。
 
tenchi-sanchi16.jpg
「うわ〜...すげぇ...」
 
しか、言葉がでない。
 
tenchi-sanchi17.jpg
「うわ〜...」
 
tenchi-sanchi18-2.png
「すげぇ...」
 
tenchi-sanchi19.jpg
ようやく雨ガ岳の山頂に到着。
 
それにしてもこんなに最高のコンディションにも関わらず登山者に会わない。
(2組だけ)
 
やっぱり山小屋と水場の無い山は登山者が少ない。
 
しかし、自分も両手を挙げて喜んではいられない。
 
水も心細い量になってきた。
 
明日のことを考えて、ラーメンを作らずにそのままポリポリとかじる。
 
そしてチビチビと水分を補給。
 
少し切なくなるけど、いつもジャブジャブと使っている水をこんなにも大切に味わえる機会もそうはない。
 
この感じはきっと山行でしか味わえない。
 
tenchi-sanchi20.jpg
富士山をぼーっと眺めていると、いきなりガスが出てすっかり隠れてしまう。
 
tenchi-sanchi21.jpg
自分たちがいる場所もガスが出てきて辺りが真っ白になったと思ったら
 
またすぐにガスが晴れる。
 
それを3回くらい連続で繰り返されて、すっかり訳がわからなくなる。
 
不思議だ。
 
もちろん太陽の熱で蒸発した水蒸気が上空へ上がってきていることは理解できる。
 
でも、この現象の当事者として感情をどう言い表せばよいのかがわからない。
 
自然は本当に不思議だ。
 
tenchi-sanchi22.jpg
ビバークする場所を決めたら、あとはもうやることが無いので
 
ひたすら富士山を眺める。
 
刻一刻と変化する富士山。
 
あ、いや...富士山は変化していない。
 
まわりが変化しているのか...
 
そんなことを思いながら寝る。
 
tenchi-sanchi23-1.jpg
朝方やっぱり寒くて目が覚める。
 
テントのシートが凍っている。
 
「怒濤の8枚レイヤード作戦」はなかなかの成果をみせてくれたが寝返りがうてなかった。
 
山の上で熟寝できる日はやって来るのだろうか...
 
外を見るとまたすごい状態。
 
「うわぁ...」
 
これは待ち受け画面に決定!!
 
tenchi-sanchi24.jpg
あれだけ寒かったのに太陽が昇り出すと気温が一気に上がりだす。
 
ありがたいなぁ...太陽。
 
これ(天照大神)が隠れちゃったら、それはオオゴトだ。
 
tenchi-sanchi26.jpg
歩き出しても景色が美しすぎて、すぐに立ち止まってしまう。
 
まぁゆっくり行こう。
 
tenchi-sanchi28.jpg
それにしても日本という国は山だらけだな。
 
ジッと美しい景色を見ているとそっちに行ってみたくなる。
 
自分たちも山の上にいるのに気が多くなって困る。
 
自分はあといくつくらい山を登れるだろうか。
 
まぁゆっくり行こう。
 
そろそろ下山だ。
 
肉が俺たちを待っている。
 
tenchi-sanchi29.jpgのサムネール画像
下山したあとはタクシーを呼んで本栖湖まで移動。
 
tenchi-sanchi32-1.jpg
今回の縦走は毛無山まで。
 
毛無山から長者ガ岳、天子ガ岳と越えて白水山を抜けると富士川にでる。
 
次回は毛無山からはじめて是非ともこの縦走を制覇したい。
 
これから本格的な冬山のシーズンになるので、装備ももう一度見直さないといけない。
 
例のスタッフサックは使い心地はまぁまぁ良かったけど、縫い方の仕様を少し変更しなければいけない箇所が出てきた。
 
まぁゆっくりやろう。
 
tenchi-sanchi30.jpg
そして、お肉。
 
頂きます。

(H)

 

 

 

 


 


 

 

Enjoy!! Weekender!!!

今週末はいろいろ参加します。
 
 gearloop market 2014 flyer .jpg
まずは毎年参加している「ギアループマーケット」。
 
このイベントは客目線で見てても、おもしろい物が多いので毎回楽しませてもらってます。
 
IMG_7983.jpg
今回はMYOGで参戦。
 
自分は10/25(土曜日)のみとなります。
 
どうぞ、よろしく。
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 
 
 
そして、10/26(日曜日)は静波で開かれるイベントに参加します。
 
静岡のイベントはごはんが美味いのが特徴。
 
自分は人生初のライブペインティングというものに挑戦します。
 
どうなるでしょうか...
 

20140919_859270.jpg
Little Wings

Traveling Art & Music Show

SMILE ENERGY
@ 静波ダチョウカフェ
10.26(SUN) 11:00~21:00


¥1000-

子供~大学生 ¥0

駐車場は静波海岸に無料で駐車できます!(たぶん500台位)

Live


Little Wings
Traveling Art & Music Show


Little Wings名義で1998年からアルバムをリリースし続けているカイル・フィールドが5度目の来日。自身のアルバムアートワークも手がけるアーティストでもある彼が、友人たちと制作した映像、ドローイング、ペインティング作品を携えて静波ダチョウカフェにやってきます。

アメリカ西海岸の空気を謳う詩情あふれる言葉の音楽で、独自の世界を築き上げてきたカイル。カリフォルニアの『MOLLUSK SURF SHOP』とも関係の深いサーファーでもある彼は、海との繋がりを大切にしながら、音楽とアートを創りだします。ジャンルにとらわれない自由な問いかけともいえる音楽とドローイングと映像を、今回一日だけのポップアップショーとして披露します。

DJ
森俊二 (NaturalCalamity)

MIND BLOWIN'

MADNESS

GOODNESS

Live? DJ?
PEPE CALIFORNIA ?
etc...

-WORKSHOP-

RYOJI HOMMA (BROWNby2tacs)

BUBBLE SEDAI

Famitory's wharf

CO.NNECT.

ONE WOOD

enn

MAKARU

たいようWOODWORKS


etc...


-LIVE PAINT-

RYOJI HOMMA !!!!!!!!

-SHOP-

LANDSCAPE PRODUCTS

SWIMSUIT DEPARTMENT

griot

日々の暮らし

BOOKS & PRINTS

KATSUYAMA YACHIYO

KDM PRODUCTS

doodle&haptic

PANNTHER MARKET

etc.,


-SURFSHOP-

ZAP SURF

BIRDS

MUNI STORE

CO.NNECT.


-FOOD-

naru蕎麦

ALASKA

KURUMI ARIMOTO x TRE FLIP

GOOD NEIGHBORS FINE FOOD

ミコト屋

STUDY

POMPOM CAKES

MERCI BAKE

KAISO

GARAGE COFFEE COMPANY

SUNDAY SPICE

MAHOROBA

HAM

KIRAKUEN&CLEVER SONS

berry (MARKUS)

etc...

enjoy !!

行きましょう、山へ。 西穂高岳〜奥穂高岳縦走ソロ編】

northalps01.jpg
 
みなさん、お元気ですか?
 
僕は北アルプスに行ってきました。
 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 
思い起こせば6年前、友人と二人で唐沢経由の奥穂高岳を目指し、穂高岳山荘に泊まったときに話した女性との会話からはじまった。
 
その女性、歳の頃は40代半ばくらいでソロで来られており、山の経験も豊富で話もおもしろい。
 
お互いに登った山の話で盛り上がっていると
 
「ところでアンタたち、ジャンは行ったの?」
 
と聞かれ
 
「いや、まだです...っていうかジャンてなんですか?」
 
と聞き返すとその女性は
 
「エ〜!!知らないの?...ジャン!?」
 
ひどく驚いているご様子。
 
そのあとは「ジャンはいいわ!ジャン最高!!」と、ジャンの魅力を語る...
 
ジャンに登ったこともないし知らなかった自分はなんだか急に恥ずかしくなってきて、とりあえず「ジャンダルム」と描かれた手拭いだけを購入して下山するという苦い思い出がある。
 
下山したあともいつかは登りたいと思っていたが、なぜかそのあと自分の登山熱は急激に冷めて、サーフィンに再没頭したり古着再再々ブームがやってきたり、サインペインティングにハマりにハマってジャンダルムのことなどすっかり忘れていた。
 
そして今年になって北アルプスの天候はずっと気にしていたのだが、なにしろ天気があまりよろしくなく登頂の機会を見失っていた。
 
西穂高〜奥穂高縦走には自分の体力だと最低でも3日間は必要だ。
(できれば平日がいい)
 
今後の仕事の予定と天気予報を見比べて、一つだけ仕事の打ち合わせをずらしてもらい今回の縦走に踏み切った。
 
友人にも何となく「ジャン行く?」とメールはしたが、彼はいまフライフィッシングに夢中らしく、ほかにジャンを狙っている友人も見当たらなかったので結果ソロで行くことにした。
 

 
 
 
早朝、新宿から松本行きの高速バスに乗って松本から平湯温泉へとバスで向かい、そこから新穂高温泉へ。
 
そのあとは新穂高ロープウェイでいっきに上昇。
 
「あぁ...なんて楽なのだろう。なんか申し訳ない...」
 
ロープウェイの駅から1時間ほどの西穂山荘でテント泊。
 
やはり少し歩き足りない。
 
行きのバスで充分に睡眠はとってきたので酒でも飲まないと寝れそうもない。
 
テントを張り終えて小屋で生ビールを注文してからは情報収集。
 
早速話してみると、どうやら今日滑落者が出たとのこと。
 
その方は4回目の縦走だったらしい。
 
4回だったらベテランとも言えないだろうけど、勝手は知って縦走している筈だ。
  
「もし、無理そうだったら引き返そう」
 
と、あらためて思う。
(そして呑む)
 
northalps02.jpg
翌朝。昨晩の痛飲がたたり6時半起床。
 
他のテントはすっかり無くなっている。
 
急いで支度をして7時に出発。
 
ガスっているが気持ちの良い道。
 
northalps03.jpg
西穂の独標までやってきた。
 
northalps04.jpg
朝ご飯を食べていないので、梅干しと楽しみにしていたカニ汁でも飲もうと準備をしていると、少しぐったりしている男性がひとり。
 
話しかけると10mくらい滑落したので、今日は下山するとのこと。
 
足と頭を強く打ったらしく顔色もあまりよくない。
 
どうか、お大事に...
 
そのあと賑やかなマダム御一行が到着。
 
マダムたちも独標がゴールでこのあと下山するようだ。
 
「あら、あなた一人で行くの〜?気をつけなさいよ」
 
「はい。気をつけます。ヤバそうだったら戻ってきますよ」
 
と、挨拶をしてとりあえず次なるピーク、ピラミッドピークへ。
 
northalps05.jpg
チラッと見えるピラミッドピーク。かっこいい...
 
northalps06-1.jpg
手前のピークに差し掛かったときに「おーい」という声が聞こえたので、振り返るとみんなが手を振っていてくれたので自分も応える。
 
「行ってきま〜す!!!」
 
northalps07.jpg
西穂高岳を越えて赤岩岳の途中にバックパックが置き去りにされていた。
 
northalps07-1.jpg
ザックカバーは劣化していてぼろぼろだが装備を見ると結構最近のものだ。
 
なんだか意味深なのであまり深く考えずに進むことにする。
(ソロだし...)
 
northalps09.jpg
赤岩岳から望む間ノ岳。
 
今日のテン場までまだ半分も進んでいない。
 
さらに思っていたより喉の乾きが激しく、計算よりも多く水を飲んでしまっている。
(軽い脱水症状になっているのだろうか?)
 
少量の水で回数を増やして喉を潤す。
 
まだ体力は充分にあるが少し気持ちが焦る。
 
でも、一歩一歩を絶対に疎かには出来ない。
 
一人なのでずいぶんといろんなことを考えるし、歌は唄ってるし、独り言も止まらない。
 
northalps10.jpg
青空が見えると気持ちも高揚する。
 
とくにこんな場所では下を向かずに空を見上げてひたすら登れるからなおさらだ。
 
northalps11.jpg
西穂高岳〜奥穂高岳の縦走コースの目印はとても丁寧でわかりやすかった。
 
これも誰かの手で印されているんだと思うと頭が下がる。
 
ソロで初めての縦走では、この目印が友達でもあり水先案内人でもある。
 
山の景観を壊すなんて口が裂けても言えない。
 
northalps12.jpg
間ノ岳山頂に到着。
 
ガイドさんらしき人、ヘルメットが自分とお揃い。
 
山のベテランの人はすぐにわかる。
 
理由は装備がその人にフィットしているから。
 
northalps14.jpg
間ノ岳から望む天狗岳が...遠いし険しいなぁ...
 
昨日はあの先で滑落事故があったと聞いたので、もう一度気を引き締めて天狗岳へと向かう。
 
northalps15.jpg
間天のコルの難所でもある垂直の鎖場。
 
「本当にこの鎖に命をあずけて良いものか?」
 
なんてことは間違っても考えてはいけない。
 
なるべく短時間でスイスイ登るように心掛ける。
 
northalps16.jpg
天狗岳を登頂。
 
ここでやっと半分くらいか?
 
水も残り少なく、常に喉はカラカラ。
 
飴や梅干しのタネの舐めてごまかす。
 
コカコーラの喉越しを想像しながらさらに歩を進める。
 
northalps18.jpg
天狗のコルを越えたあたりでガスが出てきて、視界が悪くなってきた。
 
このあと雨が降ってきたのでポンチョを被りバッグパックもすっぽり入れて、体育座りして雨がやむのを待つ。
 
このときにポンチョの生地を水平に持ち上げて雨水を溜めてすすり、喉の渇きを潤す。
 
さらにその溜めた水を水筒へと移すようになんとか試みる。
(手が3本欲しい)
 
そんなことをやっていたら雨が上がる。
 
northalps20.jpg
そして、ピーカン。
 
「女心と秋の空」とはうまいこと言ったもんだ。
(このあとは雹が降りだした)
 
コブノ頭に向けて、すこし重くなってきた足を両手でさする。
 
問題なさそうだ。
 
もう、ここまで来たらあとへは戻れない。
 
northalps21.jpg
コブノ頭を登りきったころにまたガスが出てきた。
 
そして目の前に見えるのがジャンダルムだ。
 
northalps22.jpg
いっこうにガスが晴れない。
 
さっきみたいな晴れ間が見えたときに、バックパックをデポしていっきに登ろうと待つが止む気配がない。
 
まだここからテン場までは距離があり、このあと「ウマノセ」のナイフリッジと「ロバの耳」の難所が待ち構えている。

時計を見ると3時半。
 
そろそろ日没の心配も出てきた。
 
登頂したかったけど、この状態ではさすがに意味がないと判断して今回のジャンダルム登頂は諦めることにした。
 
northalps23.jpg
ジャンダルムを横目でながめながら次なるピーク日本第三位の高峰奥穂高岳を目指す。
 
このときに今回のトレイルで痛恨のミスを犯してしまう。
 
何ということのない5mくらいの崖、そこには鎖がなかった。
 
トレイルの印はあるが、幅が狭くてとても降りづらいセクション。
 
そこでバックパックを先に降ろしてから、そのあとに自分も降りよう思いバックパックをできるだけそっと置くように投げると、なんとバックパックがゴロゴロと崖の下に落ちていった。
(地面が平らではなかった。そんなことも確認しないで投げるなんて...)
 
「ヤバい!!!!!!」
 
思わず声が出て全身が硬直。
 
ガラガラと響く音はずいぶん遠くに聞こえた。
 
すぐさま自分も降りてバックパックを探すが、外側のメッシュに入っていた荷物が手前で散乱しているだけでバックパックは見当たらない。
 
「うわぁ...どうする...」
 
もたもたしていると本当に日が暮れてしまう。
 
装備もない状態でこんな場所で一夜を明かすハメにでもなったら...
 
幸い財布は手元にあった。
 
「このまま捨てていこうか...」
 
装備なんてまた買えばいい。
 
それよりも大事なのは命だ。
 
とりあえず、近くにある荷物だけでも確保しようと恐る恐る下降する。

northalps24.jpg
手前で散乱している荷物を拾い、さらに先を凝視するとブルーのバックパックらしきものが見えた。
 
しめた!あそこくらいまでなら行けそうだ!
 
northalps24-1.jpg
しかし、それが大きな勘違いで実際はインナーダウンジャケットで、バックパックはあの場所から右方向へカーブして100m近く下まで落ちていた。
 
さらに自分のバックパックは雨蓋のない簡易式のものだったので、もうひとつ中に入っていたドライバッグがその途中に落ちており、その場所も向かうにはかなり困難な場所だ。
 
さっきまであれほど「大事なのは命」と思っていたのに遠くても自分の荷物を見てしまうと、やはり捨てていくのは惜しい気がしてきた。
 
バックパックは愛着があったしテントはまだ買ったばかり、シュラフは10年ものだがやはり愛着があった。
 
「とりあえず、降りれるところまで降りてみよう」
 
と、思ってしまい下降する。
 
ドライバッグの位置まで下降すると、そのすぐ下は40m近くの垂直に切り立った崖になっていた。
 
落ちたら間違いなく最後。
 
その光景を目の当たりにしたときに全身に鳥肌がたった。
 
首筋から腰にかけて悪寒を覚えた。
(まさに背筋が凍りつく)
  
いまの場所も決して安全ではなく、さらに上を見上げると自分がどのルートから降りてきたのかが、わからなくなっていた。
 
完全にヤバい状況を自分自身がつくってしまったことに気がついたときにはもう遅く、我に返ると両手が小刻みに震えていた。
 
「最悪だ...やばい...やばい...」
 
呼吸もなかなか整わずに動くのはあまりにも危険だったので、体の震えと呼吸を落ち着かせるために近くにある岩にしがみついて、もう一度状況をまとめようとするが思考がついていかない。
 
完全にパニック状態。
 
「なんで降りてしまったんだ!あんなものほっとけばよかったのに!」
 
と、後悔しても何もはじまらない。
 
この状況を作ってしまった自分の責任を、自分がとらないといけない。
 
なんとか呼吸を整え、もう一度冷静に下を見ると左側に高山植物まじりの岩場があり、その場所は比較的に傾斜の角度もキツくなさそうだ。
 
そして真横に15mくらいの距離のドライバッグのある場所も、よく見るとトラバース出来そうな岩がいくつかある。
 
「やるしかない...」
 
覚悟を決めて自分のすべての神経を集中させ少しずつトラバースしていく。
 
手のひらから岩の状況を読み取り、ぐらついていたり持ちづらい岩を避ける。
 
足の裏にも神経を集中させ、少しでも滑りそうな場所は極力踏み込まないようにそっと足を置いていく。
 
両手と両足の4つに掛かっている負荷を常に意識をして、そのなかで安全な岩を選び先へと進む。
 
もちろん命綱はない。
 
もし、この4つの中で一つでもミスがあったら、もう終わりだ。
 
「いける、いける...」
 
自分を励まし、ゆっくりと三点支持を繰り返しやっとドライバッグのあるすこし平らな場所まで辿り着いた。
 
「ふぅ...」
 
大きく息を吐いて下を見ると、何か白いものが見えた。
 
「なんだろう...」
 
と、反射的に足でつついてみると、プルンとその白いものがひっくり返った。
 
なんと、それは脳だった。
 
半身の頭蓋骨らしいものある。
 
同じ場所に内臓もあって内臓は少し乾涸びていた。
 
「ウワァァ!!」
 
と、声を上げる。
 
「なんなんだ、これは...」
 
自分の体がガクガクと震えているのがわかる。
 
状況がまったく理解できずにただその場所で全身の震えを抑えるだけで精一杯だった。
 
 「と、とにかくこの場所はヤバい!!」
 
ドライバッグを確保し、来たルートを引き返しトラバースしていく。
 
離れた場所からもう一度さっきの場所見る。
 
「もしかしたら動物のものかも?でもなんで遺体がないんだ...」
 
鹿にしては大きすぎて、熊にしては小さすぎる脳。
 
いくら考えても答えは出ない...
 
しかし、自分の状況もまだドライバッグを一つ確保できただけだ。
 
ここから下へ降りてバックパックを確保して、またこの場所へ戻って、さらに上のドライバッグも確保しなければならない。
 
「オレはオレのことだけに集中しないと」
 
大きく息を吸って吐き出してから下降する。
 
左側へトラバースしながら降りるには岩場をつたっていかないといけない。
 
濡れている岩の中からしっかり掴めるものを選んでゆっくりと降りる。
 
「いけるいける...」
 
岩の裂け目に手を突っ込んで軽く握りこぶしをつくり引っ掛けてゆっくりと降りる。
 
一度でも失敗したらもう終わりだ。
 
「いけるいける...」
 
名前の知らない葉っぱが緑から黄色、赤へと紅葉していた。
 
「綺麗だな、いけるいける...」
 
「違うだろ、この岩じゃない、こっちだこっち...」
 
つねに自分に声を出して語りかけていないと頭がおかしくなりそうだった。
 
もしかしたら、もうおかしくなっているのかもしれない。
 
でも、そんなことはどうでもいい。
 
生きてさえいればそれでいい。
 
生きてさえいればそれでいい。
 
気がつくと、自分は岩を降りながら泣いていた。
 
それは山の怖さと自分の愚かさと、大切な人たちへの申し訳ない気持ちからだった。
 
そしてバックパックのある場所に辿り着いた。
 

 
そこは安全な平地で遠くからはわからなかったけど、ゴミだったり朽ちたナイロンが落ちていた。
 
「もしかしたら、ここから登る強者もいるのかな」
 
そう思うと少しだけ勇気がわいてきた。
 
同じ人間がこの場所を登っているというだけで心強い。
 
バックパックを確認すると、どこにも穴があいておらずあらためてX-pacという素材の強さに感心した。
 
そして大きく深呼吸をして、入念にストレッチをしてバックパックを背負い降りてきたルートを登りだす。
 
登りはあまり感傷的にならないように精神面でも気をつけないといけない。
 
なぜならまた泣いてしまったら涙を拭う動作も登りには危険だし、視界にも悪い。
 
できる限り冷静に慎重に登ることを心掛けた。
 
「いけるいける...」
 
「この岩いける...」
 
「これはダメこっちこっち...」
 
と、スムーズにドライバッグの場所まで登ることができた。
 
しかし、ここからが問題だ。
 
なぜなら自分はここまで降りて来るときに気が動転して、どのルートで降りてきたのかを完全に忘れてしまっていた。
 
何度も言うように、たった一度の失敗が最後。
 
岩にしがみついて出来るだけ体を反らし、ルートを確認するが目視にも限界があったのでいまの位置から行きやすいルートをとる。
 
しかし、しばらく登るとその先に掴みやすい岩がない。
 
「ダメだ...いけない...」
 
そこからトラバースも難しそうだ。
 
仕方がないので戻る。
 
この行為がとても気持ちを焦らせる。
 
「いったいオレはどこから降りたんだよ!」
 
もう一度、次は別のルートをとるけど、そのルートも途中で足を掛ける場所がない。
 
両手で掴んでいる岩は自分の頭くらいの高さで、ある程度しっかりしている。
 
どうする?
 
このままいっちゃうか?
 
それとも戻ってまた別のルートを探すか?
 
いや、もうないよ...これしかない。この岩に頼ろう...
 
目をつぶって考えた。
 
家族の顔が浮かんできた。
 
懸垂の要領で体を持ち上げて右足をそのまま岩に引っ掛けて、岩に抱きつくような形で乗り上げた。
 
そのあとは傾斜の緩い斜面を登って最後のドライバッグを確保してもとのトレイルへと戻った。
 
「ふぅ...」
 
どうやら無事に帰って来れた。
 
喉の渇きは限界を超えており、水筒に残っていたわずかな水をすべて飲み干した。
 

時計を見るともう5時近くだった。
 
どうやらあの場所で1時間くらい格闘していたということだ。
 
ゆっくり休んでいる暇はない。
 
奥穂高岳へと急いで向かう。
 
途中に難所と言われている「ロバの耳」、「ウマノセ」のナイフリッジにさしかかるが、とくに問題もない。
 
トレイルにペンキの印が記されているのでただその通りに進めばいい。
 
どんなに切り立ったルートでも安全に思え、自分でも驚くほどのスピードで進めた。
 
感覚が研ぎ澄まされているのがわかった。
 
叫び出したいほど感情が最高潮に高まっているのだが、その奥にいる自分はとても冷静で俯瞰で見ている。
 
とても不思議な感覚。
 
「福腎」という臓器をご存知だろうか?
 
腎臓の真上にある臓器で三角形の形をしており、重さは腎臓の約5/1、大きさは2、3センチの副腎は90%は皮質で覆われ、中心にある10%の髄質が極度の緊張に達すると、アドレナリンとノンアドレナリンの二種類のホルモンを分泌する。
 
その二つのホルモンが作用した結果、体がいちばん必要としている部位に血液が送り込まれて、また中枢神経も同時に刺激されるという話を本で読んだことがあった。
 
たぶん、このときアドレナリンとノンアドレナリンが自分の人生のなかで、最も多く分泌されたのではないか。
 
northalps26.jpg
そしてゴールの穂高岳山荘へ。
 
あぁ、コーラ飲みたい!!!!!
 
northalps27.jpg
誰とも話す気になれずに、夜の7時まえに寝てしまい寒さでまた起きる。
 
時計を見ると夜の11時半。
 
温度計を見ると4℃だった。
 
お茶を入れて、今日起きたことを振り返る。
 
「きっとあの場所で滑落して生きてても、この温度では低体温症になって助からないな...」
 
今回の登攀でソロの危険性がイヤというほど理解できた。
 
northalps29.jpg
結局寒さで眠れずに朝になる。
 
テントから素晴らしい景色。
 
美しい。
 
northalps28.jpg
あぁ、すごい...
  
見ていると込み上げてくるものがある。
 
このまま槍ヶ岳まで行きたい気持ちをおさえて下山の準備をする。
 
今日の夕方5時半から原宿で打ち合わせがある。なんか不思議。
 
northalps30.jpg
朝日に照らされる笠ヶ岳を眺めながら下山。
 
northalps31.jpg
いつの間にか小屋も見えなくなってしまった。
 
色々あったけど下山するときはやっぱり寂しい。
 
northalps32.jpg
途中ですれ違った登山者。
 
献花を持って登っていた。
 
山の仲間を亡くしたのだろうか。
 
northalps33.jpg
木漏れ日も綺麗だ。
 
northalps34.jpg
グショグショに濡れた装備を乾かす。
 
これをやっておくと帰ってから楽だ。
 
northalps35.jpg
帰りのバスからの眺め。
 
奥に見えるのが西穂高岳。
 
また今日も多くの登山者が登っているのだろう。
 
どうか、事故がありませんように...
 
northalps37.jpg
山のGPSアプリを使っていたので確認してみると、ジャンダルム付近でトレイルを踏み外しているのが確認できた。
(やけに生々しく見える)
 
覚悟はしていたけど、今回の縦走は遊びの範囲を超えてしまった。
 
やはり自分にはもっと楽な山があっている。
 
今度はどこに行こうか。(H)
 

 

 

 

 


1234|5|67891011